第21回広域避難者支援ミーティングin東京

❖開催概要

日 時:2021年6月3日(木)13時30分~15時30分(2時間)

場 所:飯田橋セントラルプラザおよびオンライン(Zoom)

主 催:広域避難者支援連絡会in東京

参加者数:21団体26名

     当事者団体5団体5名/支援団体16団体21名(行政含む)

第21回 報告書
第21回広域避難者支援ミーティングin東京 報告書.pdf
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  • 2020年が明けて程なく拡がった新型コロナウイルスは、当連絡会の活動にも大きく影響をおよぼした。当事者団体との取組みは停止し、実行委員会の開催も足踏み状態となった。
  • 同年11月、限られたメンバーではあるが、約9か月ぶりに開催した実行委員会の場で、個人的に抱える課題・悩みなどを本音で共有し、相談できる場がほしい、との声が挙がった。その中でも、被災地に残してきた家屋や土地・財産の扱いを含む、身辺に関するテーマを取り上げる要望が複数名から聞かれた。
  • そこで今回、第21回広域避難者支援ミーティングin東京を、当連絡会に関わりのある当事者団体に限定したクローズドミーティングの形で企画し、建物・土地・財産等に関する意見交換・情報交換をする場として開催した。家庭や個人の状況・考えによる 違いのみならず、被災自治体によって制度や対応が異なることから個別性が高く複雑な問題であるが、置かれている状況を改めて整理し、情報を共有することで、今後の判断の一助となることをねらいとして実施した。

❖内容

開会の挨拶

かながわ東北ふるさと・つなぐ会 会長 今里雅之さん

プログラム1 情報提供

被災者生活再建に関する制度について、情報提供いただきました。

 

1 被災3県行政による関連制度の情報提供

◆福島県 企画調整部 避難地域復興局 避難者支援課より

原発避難者特例法に基づく指定市町村及び特例事務の告示等について、届出避難所に関する証明書の交付について、被災者生活再建支援制度について、固定資産税について等をお話いただきました。

 

◆宮城県 復興・危機管理部 復興支援・伝承課 震災復興支援班より

住民票について、被災者生活再建支援金について、固定資産税(被災代替住宅用地の特例、被災代替家屋の特例)について等をお話いただきました。

 

◆岩手県 復興防災部 復興くらし再建課 相談支援担当より

住民票を移動していない場合に活用できる制度について、土地管理、土地の売却や相続のことについて、東日本大震災関連制度について等をお話いただきました。

2 災害復興まちづくり支援機構(司法書士)による情報提供

◆災害復興まちづくり支援機構 箱石まみさんより

被災した不動産に関して、土地の公的な買取りや建物の公費解体に関する制度に加えて、原発事故被害に伴う賠償や補償についてもお話いただきました。また、対応が困難な所有不動産として、一般的に発生する状況や関連制度について、実際の事例を交えながら情報提供いただきました。この4月に公布された新制度「相続土地国庫貴族制度」についても説明いただきました。

プログラム2 意見交換・情報交換

プログラム1を踏まえ、オンライン・飯田橋参加者ともに、意見交換・情報交換をしました。

 

<土地・建物等の状況>

・居住制限区域だった富岡町の自宅は解除され、費用負担の期限の問題で3年ほど前に解体し更地にした。富岡町の知人は、戻るかどうか考え中の人が多い。

・双葉町にある建物は、昨年12月にようやく話がまとまり、このまま何事もなければ6月に解体する予定。双葉町の帰還困難区域は荒れ果てている。

・浪江町の帰宅困難区域であるため、手続きが進んでいない。震災を機に、それまで知らなかった先祖の土地も判明し、手続きの施しようのないものもある。

 

<置かれている状況・抱えている課題>

・行政より、所有地の適正管理は所有者の責任という通知もあり、コロナの中、更地にした土地を隣人に写真に撮って送ってもらい状況を見守っている。行政が除草の取組みをするも、帰還して住む意思のない人は対象外とのこと。今年からは固定資産税を払っている。自分が元気なうちはやり繰りできるが、わが子も土地は要らないと言っている。

・コロナの中だが、定期的に戻って土地管理せざるを得ない。所有者である以上、法に定められている通り、維持管理をしなくてはならない。条例などを作る動きも見られない。

・次の世代に汚れた土地を引き継ぐ形になってしまうこと、帰還困難区域から解除されたら土地に税金を払うことになること、娘夫婦に土地を要らないと言われることなど、自分たちが生きている間にどうするのが正解なのか、はかりかねている。

・放射能汚染された土地の相続は、負の遺産。受け取った時は汚染されていなかったのに、自分たちの代で汚染され、それを次の世代に残せというのか。多くの人が悩んでいる。

・当時は、突如自分の土地が汚染され、さらに所有権まで持っていかれるのは言語道断だと思っていた。しかし、実際には税金がかかり、所有者としての管理もある。これらのことがのしかかってきている。

・自分の代でしっかりと処分しなければならないと思うが、汚染された土地を買う人はいない。そもそも制度も、放射能汚染された土地を度外視して作られている。

・避難者数のカウント方法について教えてほしい。仮設住宅からの退去をもって避難者カウントから外すという方針を福島県でとっているのか教えてほしい。数え方が避難者に明白に伝わっていない状況がある。

 

閉会の挨拶

広域避難者支援連絡会in東京 代表 災害復興まちづくり支援機構 横山聡

飯田橋会場の参加者の様子
飯田橋会場の参加者の様子
Zoom参加者の様子
Zoom参加者の様子

❖参加者の声

・普段見聞きするメディアでは報じられていない、課題や状況を知った。やるせなさを覚え、ショックを受けた。しっかり検討し、広く伝えていかなくてはならないことだと思った。

・法律でひとくくりにできない問題だということを改めて感じた。しかし、ひとくくりにされてしまっている現状があることを知った。

・一般的な土地や相続問題とそれに対する制度の観点からも情報提供があったことから、地域の支援においても、高齢や認知症などにネットワークを生かしながら支援していく必要性を感じた。

・同様のテーマで、今度は制度を利用した事例の紹介を含めて、情報交換する場を設けていきたい。

❖問合せ

広域避難者支援連絡会in東京

 (事務局)東京ボランティア・市民活動センター 広域避難担当

 TEL 03-3235-1171 FAX 03-3235-0050 メール kouikihinan@tvac.or.jp

 広域避難者支援連絡会in東京の平成26年度~30年度の事業につきましては、「タケダ・赤い羽根広域避難者支援プログラム」の助成を受けて実施させて頂きました。

ありがとうございました!

広域避難者支援連絡会in東京
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