第20回広域避難者支援ミーティングin東京

◆開催概要

日 時:2020年9月10日(木)15時00分~16時40分(1時間40分)

場 所:オンライン(Zoom)開催

主 催:広域避難者支援連絡会in東京

共 催東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

※東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)が実施する「県外避難者支援運営
 業務 地域巡回員のオンライン情報交換会」の一環としても実施。

参加者数:46団体63名

第20回 報告書
第20回広域避難者支援ミーティングin東京 報告書(WEB版).pdf
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  • 年初より始まった国内での新型コロナウイルス感染拡大の影響は、東日本大震災の広域避難者への支援活動にも大きな影響を及ぼしている。避難者のサロン活動の停止、当事者団体によるお楽しみ会等の中止、支援員等による訪問・見守り活動の停止などがあげられる。
  • 一方、感染拡大防止は当然守らなければならないものの、それだけを理由にこうした取組みが進まないことは避難者への支援全体の低下につながり、ひいては避難者の不利益につながってしまう。感染拡大防止に努めながらできる取組みを進めていくことが重要と考える。
  • そこで、今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止下において、避難者支援をどのように工夫しながら取り組んでいるかについて、避難者支援に関わる方々同士で考え方やアイデア、工夫などを共有し、今後の避難者への関わりの参考にする場としたく、開催した。
プログラム1 都内当事者団体の活動状況の報告

1 都内当事者団体の活動状況について

 <広域避難者支援連絡会in東京からの報告>

◆報告者 東京足湯プロジェクト/JCN(広域避難者支援担当) 金子 和巨さん

 広域避難者支援連絡会in東京と関わりのある当事者団体(11団体)について、新型コロナの影響下で「団体活動ができているか」「中止が続いている広域避難者支援連絡会in東京の実行委員会の開催についての考え」「避難生活上困ること(他の避難者からの声含め)」のヒアリング内容をお話頂きました。

 高齢者のメンバーが多いこともあり、ほぼ全団体が対面での集まりは自粛し、今後の見通しも不透明である状況が共有されました。それ故、孤立防止やつながりが途切れないよう電話・メール・オンラインでの情報共有や声掛けに取り組んでいる様子も報告されました。工夫して新たな手段を用いているものの、やはり慣れなかったり味気なかったりする想いも聞かれました。集うことに慎重にならざるを得ず、自粛しながら取り組めるものを見つけている方もいるものの、「気を紛らわすための何か」という位置づけのものでもあり、閉塞感を覚えながら日々過ごしている様子が窺えました。

 

2 当事者団体・支援団体の活動状況について

 <むさしのスマイルからの報告>

◆報告者 むさしのスマイル 岡田めぐみさん

 6月より月に一度の対面サロンを再開しているお話を頂きました。その背景には、福島在住者の中に未だ避難を検討している方がいること、避難当事者としてこの現状の発信を続けていかなくてはならないという想いがあることを共有頂きました。オンラインでのサロン開催は技術面でのハードルが高い為、今は基本的な感染対策に加えて保健所の感染症担当や内科医へ相談をしながら、できる限り安心できる環境作りを試みているとのことでした。しかし、ご年配や持病のある方の参加は難しいため、顔の見える場作りを引き続き模索中とのことでした。最近みられる状況として、皆で話せる場がなくなったことにより心の拠り所や楽しみがなくなり、精神的に病む方が出てきているそうです。

 その他、経済的な面での困りごとの声が聞かれるようになってきていることや、少し前の休校期間中は、閉塞により母子の間で虐待と紙一重の緊迫した状況が生まれていたことについても共有頂きました。

 

むさしのスマイル

https://musashino-smile.org/ 

 

 <中野区社会福祉協議会からの報告>

◆報告者 中野ボランティアセンター 山田瑠理子さん

 中野区に避難されている方への孤立化防止事業として実施してるサロン「来らっせしらさぎ」の再開への道のりについて、詳しくお話頂きました。3月以降中止していた期間は、避難者に中止連絡を入れる機会に状況確認していました。情報誌では心理士による情報提供(非常時に心のバランスをとるヒント等)をしていました。6月になり再開の方向で動き出した際には、マニュアルを作成し、スタッフ全員で討議し、時間短縮・人数制限の変更や消毒等について各々が落とし込んだ後に、再開の6/26を迎えました。当日はスタッフ全員稼働、1時間の会場消毒、参加者の動線の事前確認、終了後には振り返りとマニュアルの見直しを実施。また、参加者には感染予防に伴う協力事項をプリントにして配布されました。今では、フローに慣れたことから通常のスタッフ数に戻し、さらに、消毒時間も短縮できるようになったことから30分前倒しでサロンを開き、参加者が集う時間を長くすることができるようになりました。また、参加者への協力事項は毎度目に触れるようにしていることもあり定着し、「まだ手指消毒してないよ」「喚起の時間だよ」という声掛けがあがるそうです。 

 サロンでは笑顔でにぎやかに、楽しく過ごされている様子が見られ、今後もオンラインを取り入れる等して少しでも多くの方に参加いただけるよう模索していきたい、とのことでした。

 

中野区社会福祉協議会 交流サロン「来らっせしらさぎ」 

https://nakanoshakyo.com/service/saigai/

 

<ひろしま避難者の会 アスチカからの報告>

◆報告者 ひろしま避難者の会「アスチカ」 三浦綾さん

 4月に実施したアンケートと、それも踏まえて再開されているスペースの状況についてお話頂きました。往復はがきを用いて4月に実施したアンケートでは、困りごとや不安に加え、工夫をして頑張っている前向きな話も聞かせてもらえるようにされたそうです。前向きな言葉を集め発信することで、見た人が「自分もがんばろう」「自分にも何かできるかも」と思える情報を届けることにつながりました。また、アンケートでの「少人数でも短時間でも顔を見て会いたい」という声の元、地域の方の協力も借りながらスペース兼事務所のレイアウトを大幅に変更することで広く空間をとれるようにし、各人の前横3面をシートで区切り安心してマスクを外して集える環境を整えました。その他、アンケートの中では、感染予防対策としてマスクの着用をしていることから東日本大震災・福島第一原発事故での放射能を連想され、心を痛めている方も見受けられたという共有も頂きました。

ひろしま避難者の会 アスチカ 

http://hiroshimahinanshanokai-asuchika.com/

 

<特定非営利活動法人いわて連携復興センター>

◆報告者 特定非営利活動法人いわて連携復興センター 瀬川加織さん

 被災者の災害公営住宅の入居時期と新型コロナの感染拡大時期が重なったときにされた工夫について、お話頂きました。住民集会の開催や新たなコミュニティ作りが必要なタイミングにおいて、何かできることはないかと考えた結果、ラジオ体操と花壇の手入れの仕掛けを実施されました。距離を取りつつ、頻繁に顔を合わせ、共に体を動かし、共同作業をすることで、互いを知り合う機会につながり、約30世帯の入居から常時12~13名の参加があるそうです。5月下旬から現在まで継続され、最初は支援者が呼びかけをしていたのが、今では住民同士で準備をして取り組まれているそうです。

 

いわて連携復興センター 

http://www.ifc.jp/

 

プログラム2 意見交換・情報交換

参加者全員がグループに分かれ(8グループ)、お互いの取り組みを聞いて参考になる点を学び合うことを趣旨としながら、避難者や当事者団体の状況、当事者のコミュニティ支援について以下のテーマで意見交換・情報交換を行いました。

・感染対策について実施している内容(他団体の取組み含め)

・新型コロナウイルス感染防止下での避難者の状況・声

日常的な連絡手段をはじめ、つながりを保つ工夫や双方向のコミュニケーションとなる工夫などが共有されました。また、対面・大人数となる、交流会などのイベントに関する意見交換も行われました。

 

◆参加者の声

  • 「交流会を開催しないリスク」も感じられるようになってきた、という事が印象に残りました。
  • 「避難しているだけでも申し訳ないのに、新型コロナウイルスに感染したら、さらに申し訳ない」という、避難者の声を聞き、非常に切なくなりました。

 ◆問合せ 広域避難者支援連絡会in東京

      (事務局)東京ボランティア・市民活動センター 広域避難担当

      電 話 03-3235-1171 FAX 03-3235-0050

      メール kouikihinan@tvac.or.jp

 広域避難者支援連絡会in東京の平成26年度~30年度の事業につきましては、「タケダ・赤い羽根広域避難者支援プログラム」の助成を受けて実施させて頂きました。

ありがとうございました!

広域避難者支援連絡会in東京
事務局
(東京ボランティア・市民活動センター内)

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   新宿区神楽河岸1-1

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